京都、西陣織ってなんだ ②

2020年05月17日

紋 もん



西陣織とはなんだ、をもう少しすすめると、「先染め、紋おりものである」という定義が出てくる。

その定義を説明すると、友禅染めのように、真っ白い生地に染料を染み込ませるように染めたものではなく、シルクや植物や化繊など、様々な繊維を染料で染めた糸のことを先染めと呼び、それらの糸を使って、絵柄やもようを紋に落とし込み、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)によって製織された布地のことと言える。

西陣織の緯糸の素材には、金銀糸などのように、広く和紙の上に金属をたたきのばし、貼り付けたものを細くスライスして、糸状にしたものや、和紙に描かれた絵や図柄を細く裁断した引き箔などたくさんの種類がある。

製織までの工程はたくさんあるが、まず絵柄を描いた図案を作り、それをピクセル画におこす。なぜピクセル画かというと、一つ一つのピクセルが、一本一本の緯糸だとイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。

織りあがりをイメージしながら、どこにどのような糸を使って、どのような織工夫を施すかを考えながら配色する。

そして、出来上がったピクセル画を一つのパターン(型)として、「紋」というものに変換する。

ピクセルを色ごとにわけ、それぞれの色ブロックに、「組織」※をからませることで、浮き出たように織りあがったり、ミチッと詰まったように織りあがったり、地紋が浮き出るように織りあがったりと、織物に様々な表情がうみだすことができる。

ピクセル図に組織を組み込み、紋へと変換させたとたんに、それは、複雑に絡む経糸と緯糸の重なりを織(はた)に伝える設計図兼指揮官となる。

経糸を上げる場所や間隔、そこに通るべき糸などを紋が采配することで、二次元のぺったんこなピクセル画が、奥行きと陰影をもつ三次元の織物へと昇華する、とても大切な工程といえる。

※「組織」とは、経糸に対して緯糸を通す配置や本数などの組み合わせ方のこと。